2023年の注目トレンドピックアップ

 
2023年のPRトレンド

こんにちは。パーパスブランディングコンサルタントの小西です。2023年もよろしくお願いいたします。

今年の干支、兎のように皆様におかれましても飛躍の一年になるようお祈り申し上げます。

さて今回は年初の記事に相応しく、PRコミュニケーションにおける2023年のトレンドについて、多くのグローバル情報ソースから共通しているもので日本でも意識すべきトレンドをピックアップしてご紹介します。

 
 

トレンドその1「社内外の一貫性のあるコミュニケーション」

自社のブランドを世間(社外)に対して一生懸命発信する企業は多いでしょう。
しかしながら、自分たちのブランドを作っていく上で、社内の理解と共感は欠かせません。

以前にも企業が発信するどのチャネル(Paid Media[広告]、Earned Media[パブリシティ]、Shared Media[SNS]、Owned Media[自社メディア])でも一貫性のあるコミュニケーションをしていかなければならないとお伝えしてきましたが、2023年はこのPESOモデルにインターナル(社内)への意識を注意深く向けることが重要となります。

特に避けたいのは、従業員がニュースでしか自社の事を知る手段がないパターンです。社員が会社の事業活動を自分事に感じられないコミュニケーションは企業にとってデメリットでしかありません。
少なくとも社外に話していることを社内の人が知らないという事態が起こらないようコミュニケーションすることが重要です。


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トレンドその2「パーソナライズPRアプローチ(質>量)」

2023年は、これまで以上にパーソナライズしたPRアプローチが重要になるといわれています。そして「量」より「質」に価値が向けられます(当社は従来よりクライアントに対してKPIを作っていく際、掲載数や広告換算値などの「量」を測るよりは、「質」を測るKPIを見るよう勧めていましたが、まさにそういう時代になってきたなと実感します)。

パーソナライズしたPRアプローチとは、コミュニケーションにおいて、特定のステークホルダーを対象にし、「私はこの活動、事業推進を”あなた”に知ってほしい」という意識で行うということです。

PRは本来そういう仕事ですよね。マーケティング志向で量を追求しがちな企業は多いですが、パブリックリレーションとは世の中(パブリック)と関係構築をしていく仕事です。そのためには、関係するステークホルダーへの視点がますます大事になってきます。


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トレンドその3「信頼とロイヤリティを高めるためのオーセンティック(本物志向)PR」

これは特に多くの人が指摘していたトレンドです。
そしてこれもPRの真髄といえるでしょう。
社会は、その会社が宣言していることと実際に行っていることの整合性を追求していく時代になっています。
消費者が自分のお金を使うのに、消費を通じて(企業を通じて)世の中に貢献したいという消費行動が増えているからです。
だからこそ、企業は事業活動を通じて社会課題に真剣に取り組み、そしてそれを伝えるPRが必要になってきます。


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トレンドその4「DEI、CSR、ESGを取り入れた社会的責任に取り組む企業」

こちらも多くの人が挙げていたトレンドで、以前から重要性は指摘されていた分野ですが、2023年以降はますますこれらの重要性が強くなると思います。

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【DEI】Diversity, Equity, Inclusionの略語。従業員の多様な個性を尊重し、それを公平かつ包括的に活かすことが企業において高い価値創出につながるという考え方。
【CSR】Corporate Social Responsibilityの略語。企業が組織活動を行う上で担う社会的責任のこと。
【ESG】Environment, Social, Governanceの略語。企業活動をする上で環境、社会、ガバナンスといった観点からの配慮が必要という考え方。

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多様性というキーワード自体は社会に浸透していますが、それを標榜していながら実態は全く多様ではない企業がまだまだ多いことは否めません(男女平等一つとってもまだ改善の余地は大いにあると実感する方は多いのではないでしょうか)。
多くの企業にとってチャレンジなテーマだと思います。このトレンドは様々な方面で興味関心を引くトピックスでもあり、ステークホルダーの信頼獲得につながるという意味では、このチャレンジは社会に認めてもらうチャンスでもあり、企業やブランドへの共感者を増やすことが期待できるでしょう。


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トレンドその5「オーディエンスファースト」

BtoC企業で「新しい商品を開発しました」というプレスリリースは多いのですが、そのような切り口よりは、「この商品はこういうコミュニティで支持が集まっています」「○○世代に売れています」といった、利用者・消費者(オーディエンス)が支持しているというトレンドの切り口の方が世間の興味関心が高くなっています。

実はこの潮流ですが、まだ世の中に認知されていない会社にとっては追い風になります。
まだ無名の会社が新商品・サービスを発表してもなかなか話題にはなりづらいでしょう。そういう会社が、ある特定の層やコミュニティに対して役に立つサービスで、そこで重宝されて満足しているユーザーが沢山いるという構図を見せることができると、世間の興味関心が広がるきっかけになります。
そういう意味では「自社メディア」を活用していくべきです。自社のSNSを使ってファン層を獲得できれば話題作りのきっかけの一つになります。また、一般消費者や利用者が発信する自社の情報にも目を向けるべきでしょう。
自分たちがどのようなターゲット層に対して理解してもらいたいのかを常に明確にする、そしてそこに対するきめ細やかなアプローチが大事になってくるでしょう。


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まとめ

いかがでしたでしょうか。ご紹介したトレンドのすべてが「信頼構築・獲得」のための重要なポイントになっていますが、どれも意外性のあるトレンドではなく、AStoryでも日頃からお伝えしてきたことが、2023年はさらに強調されているという印象です。社会との信頼構築が大事だという認識があるなかで、これらのトレンドがより強調されたのだと思います。
消費者がどんなふうにブランドを選ぶかということを、まさに企業側も意識し始めており、2023年はステークホルダーとの「信頼構築」ということに対して多くの企業がゴールに掲げるようになるでしょう。

 

【情報ソース】

PRWEEK「CSR to be the leading PR trend of 2023, ahead of AI & technology」
https://www.prweek.com/article/1807981/csr-leading-pr-trend-2023-ahead-ai-technology

PR Daily「PR Daily’s top 6 trends for 2023」
https://www.prdaily.com/pr-dailys-top-6-trends-for-2023/

ZENMEDIA「The Future of Public Relations: 14 PR Trends for 2023」
https://zenmedia.com/blog/pr-trends-shaping-the-industry/

Meltwater「5 Massive PR Trends in 2023 Your Brand Should Be Dominating」
https://www.meltwater.com/en/blog/pr-trends-your-brand-should-be-dominating

BuzzSumo「9 PR Trends That Will Dominate in 2023 According To Rise At Seven」https://buzzsumo.com/blog/pr-trends/

PRSA「Future Connections: 6 Trends for PR Pros to Watch in the Decade Ahead」https://www.prsa.org/article/6-trends-for-pr-pros-to-watch-in-the-decade-ahead

 

AStoryではアマゾンジャパンの黎明期からトヨタやGoogleを抜いてトップブランドとなった実績(「総合ランキングは、「Amazon.co.jp」が初の総合首位を獲得」)をもとに、ベンチャー、スタートアップ企業の新規上場におけるPR戦略立案やPR担当者育成のサポート、パーパスブランディングの構築支援をしています。

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