【スタートアップ必見】ピッチ力を劇的に上げる!必須テクニック

 

先日、弊社のクライアントが株式会社デジタルガレージ主催のスタートアップ投資育成プログラムの卒業生としてピッチイベントに登壇するということで見に行きました。

デジタルガレージ社のピッチは、登壇された各スタートアップのレベルが高く、衝撃でした。主催者の方に伺うと、このピッチにはメディアも投資家も来ていることもあり、皆さんかなり練習されたそうです。

ピッチの成功はスタートアップの未来を左右する重要なポイントです。今回拝見した素晴らしいピッチのなかで、共通した特長が6つあったので、ピッチ力を劇的に上げるための必須テクニックとしてご紹介したいと思います。

 
 

1. ピッチ成功者の共通テクニック6選

 

① BeforeとAfterを入れる

このテクニックはAStoryがメディアトレーニングのなかでも話す切り口の一つです。この「BeforeとAfter」を入れることで、聞き手にとって、話の内容がわかりやすくなることがメリットです。
「BeforeとAfter」とは、従来の状態、課題のある現状がBeforeで、スタートアップのソリューション提供後の状態がAfterです。自社のソリューションを提供したことで、それまでの課題(Before)がどう変わるのか(After)、と話すことで、聴衆はソリューションの効果をより一層イメージしやすくなります。

AStoryが推奨しているストーリーテリングのテクニックとしても、このBefore/Afterのテクニックは効果的で、これがあると共感されやすくなります。

 

② 最初に共感を持たれる質問で始める

今回のピッチで最も私が共感した会社がこのテクニックを使っており、非常に共感を持てました。
この会社はメタバースを使ったメンターシステムを開発した会社です。メタバースを使ったメンターシステムとは、顔を出してリアルにメンター(Mentor:助言者、相談相手)と話すのに勇気がいる人のために開発したサービス。

ピッチに登壇したこの会社の社長は、開口一番、「人間関係で会社に行くのが嫌になったことはありませんか?」と聴衆に向けて質問スタイルで話し始めました。

その質問によって「あぁ、確かに。」「あるある!自分もそう!」と共感した聞き手は恐らく多く、皆さん、この社長の話にぐっと引き込まれていたように感じます。

このように、スピーカーが一方的に話すのではなく、オーディエンスと対話するかのような「問いかけ」は共感を生みやすくなります。
『マイケル・サンデルの白熱教室』などで知られる、ハーバード大学教授のマイケル・サンデル氏の講義でも、「教師が学生に答えを与えるのではなく、問いかけによって主体的に問いに向き合う機会を提供し、対話を重視した方法で作り上げられることが特徴である。(1)」とあり、ハーバード大学で最も人気(学生を惹きつける魅力)のあるサンデル氏の授業には「問いかけ」が重要な鍵であることがわかります。

ピッチやプレゼン、セミナーなどの機会が多い方は、是非「問いかけ」で一気に聴衆の注目を集めましょう。

 

(1) 櫻田怜佳「パブリック・スピーチにおける問いかけのメタ言語的機能について」、日本女子大学大学院文学研究科紀要 / 日本女子大学 [編] (26), 37-50, 2019。

 

③ 自分のエピソードを共有

「メンタレスト」という会社のピッチでは、先述した「問いかけ」はもちろん、社長ご自身のエピソードが盛り込まれていました。
メンタレストのサービスはメタバース上で心理カウンセリングが受けられるもので、この開発には社長自身が過去、メンタル不調に陥った経験に基づいていて、自分と同じような悩みを持つ人の役に立ちたいという想いからメタバースの開発に至ったそうです。

私はこの方のスピーチに共感したのはもちろん、それまで「メタバース」の一般的な活用について疑問があったのですが、「そういう使い方があったか!」と目から鱗が落ちるように理解できたのです。
確かに、相談内容がセンシティブであればあるほど、「顔出しはしたくない」と思う方は少なくないでしょう。社長のご経験から開発に至ったストーリーが、メタバースの現実化・一般化の必要性を感じさせ、さらにこのサービスを使用するイメージが具体化したピッチでした。

 

④ 1スライド1メッセージ

ほんの数分間のピッチでは、1枚のスライドのなかに、訴えたい内容や重要な情報を1ワードでも多く詰め込みたいと思う方は多いでしょう。
しかしながら、実際に評価され、成功しているピッチを拝見すると、シンプルにメッセージを伝えることが、結果として伝わりやすくなり効果的であることがわかります。
逆に情報量が多いピッチだと、終わった後、聴衆にとっては「ほとんど覚えていない」ということが往々にしてあります。
長い文章がひしめくようなスライドを見せられれば、興味のあるピッチでも聴衆は読む気を失いかねません。それは機会損失につながります。
1枚のなかの情報量が減れば、その分文字を大きくでき、視認性や可読性がアップします。そして記憶に残りやすくなるでしょう。

実際に今回のピッチでも、1スライド1メッセージスタイル多く見受けられました。皆さんも勇気を出して試してみてください。

 

⑤ 第三者の評価

自分たちが自分たちのことを「これだけスゴイんだよ」と言うより、自社以外の誰かに「この会社スゴイんだよ」という評価が入ったピッチは強力になります。特に一番入れて欲しいのは「利用者の生の声」です。
実際に使っている人が、どのように使っているかなど、リアルなレビューがあると効果的でしょう。
また、定量的、定性的な調査結果が両方入ったものも説得力が増します。

さらに、企業のホームページなどにも多い、「メディアの評価」も掲載することができれば、なお良いでしょう。
ちなみに、メディアの名前だけでなく、メディアが自社のどういう点を評価したのかが分かるようにするとパンチ力がアップします。
例えば、「西の京都とも呼ばれるが、それよりもはるかに興味深い」と、アメリカのニューヨーク・タイムズ紙に評価された山口県山口市のように、単に「『ニューヨーク・タイムズ紙』に掲載されました」というより、ずっと耳目を集めるでしょう。

このように、KOL(Key Opinion Leader:キーオピニオンリーダー)などの社会からの信頼を得ているような第三者のコメントや評価を得て、ピッチスライドに含めることができれば、さらに追い風が吹くはずです。

 

⑥ 創業者のバックグラウンドと事業の関連性

創業者や経営陣のバッググラウンドと、その事業に関連性を示せれば、なお強いピッチになります。
なぜなら、そのスタートアップのビジネスモデルを作った必然性が、聴衆にとっても”しっくりくる”からです。つまり納得されやすくなります。

例えば、最近人気のアパートメントホテルを展開している弊社のクライアントSectionL(セクションエル)は、創業者含め、経営陣の皆さんがホテル業界出身で、旅行好きな方々です。その彼らが、インバウンドで来日する外国人は増えたものの、まだまだ、長期滞在型の宿泊施設が少ないことにホテル業界およびインバウンドの共通した課題だと感じ、これからそのようなタイプのホテルも必要になってくるであろうと、コロナ禍に立ち上げたベンチャー企業です。

このように、起業した人たちの想いが伝わるだけでなく、その事業とも関連性が背景にあると、投資家も「この人たちだからやる意味がある」と思えるのではないでしょうか。

 
 

2. 陥りがちなNG行為

一方で、ピッチで陥りがちなNG行為もご紹介します。今回のピッチではあまり見受けられませんでしたが、ありがちな事例なので、皆さんに意識して欲しい点です。

 

① 業界専門用語の多用

これは内容がいくら良かったとしても、とても聞きづらい残念なピッチとなってしまいます。
フィンテック業界など「これくらい常識」だと当事者は思っていても、革新的な事業であればあるほど、世間で認知・浸透されていないような用語を、そうとは知らずに使用してしまっているかもしれません。

例えば「アービトラム(Arbitrum)」。
仮想通貨について詳しくない人が聞いた瞬間、「あ、この話は私には関係ない」となってしまいます。

専門用語をそのまま使えるかどうかの判断にお勧めなのが、「新聞」でそのままの用語が採用されているか否かをチェックすることです。私自身も、プレス資料を作る際に業界用語とおぼしきものは「日本経済新聞」でも使われているかを毎回チェックして判断しています。
ちなみに「アービトラム」は、日経新聞では用語そのままではまだ使われていません(当記事執筆時点)。日経で一般的な用語として扱っていないということは、補足説明が必要になる用語であると解釈できます。

専門用語を使用する際は、一般メディアでも使われているかどうかや、ピッチを聞く対象が専門誌を見ている人たちかどうかを事前にチェックしましょう。専門業界の人だけでなく、一般メディアも来場するようなピッチであれば、ちょっとした配慮を加えることで、聴衆の興味をさらに強くすることができるはずです。

 

② 英語のままのスライド

日本人がオーディエンスであれば、これはさすがに手抜き感が否めません。英語のままのスライドで、しかも日本語での説明もないピッチは残念でなりません。英語の環境に慣れている私でもそう受け止めてしまうのです。
こちらのNG行為も、前述の「専門用語」同様に、ピッチをする側が「分かるだろう」という誤認識や、無意識、無配慮によって起こってしまうようです。しかしながら、これでは聞き手が「自分ごと」として真剣に聞き入ってはくれないでしょう。

 

③ 早口

ピッチコンテストは短時間の勝負になるため、どうしても早口になりがちです。聴衆が聞き取りやすい話し方にするためには、事前練習として、自身のピッチプレゼンを録画して確認してみると良いでしょう。録画してみると、早口なだけでなく、「えーと」「あのー」といった、「フィラー(filler)」と呼ばれる言葉と言葉の間に無意識に挟んでしまう、意味のない発声をしてしまう”クセ”も見つけることができるでしょう。

数分間の勝負におけるピッチでは、早口やフィラーは洗練さに欠けてしまうだけでなく、自信なさげに見えてしまい、聴衆に不安を与えてしまいかねません。
自身がピッチしている様子をしっかりチェックして、クセを意識して練習を重ねてブラッシュアップしていきましょう。

 

3. まとめ

以上のように、成功するピッチには共通の特長があり、そのテクニックを身につけることで、ピッチの成功率が格段に上がります。投資家をはじめとした聴衆の心を掴むには、相手の共感を呼ぶプレゼンであることが重要なポイントです。

これらのテクニックを駆使してピッチの準備を万全に整え、スタートアップの未来を切り拓いていきましょう。

 

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