コンサルティングは本当に意味がないのか?──そう感じてしまう企業に共通する“構造的な理由”
※最新記事「失敗しないためのコンサル活用」もあわせてご覧ください。
こんにちは。パーパス・ブランディング・コンサルタントの小西です。
突然ですが、
「コンサルティングは意味がない」
「現場を知らないコンサルタントに、何が分かるのか」
こうした声を、経営者やプロジェクト責任者の方から聞く機会は、決して少なくありません。実際にコンサルティングを導入したものの、期待した成果が得られず、違和感だけが残った——。そうした経験があれば、なおさらでしょう。
重要なのは、その感覚が単なる感情論ではなく、多くの企業で繰り返し起きている“構造的な問題”から生まれているという点です。
コンサルティングがうまく機能しない背景には、個々のコンサルタントの能力以前に、支援の設計や関わり方そのものに原因があるケースが少なくありません。
本記事では、「なぜコンサルは意味がないと感じられてしまうのか」を、企業側・支援側の双方の視点から整理し直します。その上で、どのような条件が揃えば、コンサルティングは企業にとって“意味のあるもの”になり得るのかを考えていきます。
※本記事は、2020年の公開内容をベースに、2026年時点の視点で再構成・加筆しています。
なぜコンサルティングを依頼しても失敗してしまうのか?その5つの理由
一説によると、外部コンサルティングを導入したプロジェクトの約8割は失敗しているといわれています。新規事業の成否でいえば、スタートアップの成功は7%しかなく、DropboxやAirbnbのようにユニコーン企業となる確率はたったの0.3%ほどしかないそうです。それほど新規事業を成功させることは困難であり、一流企業を相手にするコンサルタントでさえ100%の確率でプロジェクトを成功させることは難しいのです。
ではなぜ企業が大金を拠出して招聘したコンサルプロジェクトが失敗してしまうのでしょうか。主に以下の5つが理由として挙げられます。
実践経験
対岸の火事
固定報酬
必要不可欠な存在
性急過多
一つずつ説明していきましょう。
まず、1の「実践経験がない」コンサルタントというのは、つまり現場を知らないコンサルタントです。
一流の大学を出てそのまま大手コンサルティング会社に就職したタイプのコンサルタントは、一見、素晴らしい資料やプランを提示することはできても、いざ実装する際、現場の経験がないため自社の類似パターンにはめることしかできません。
いわゆる上流工程の視点でコンサルテーションを行うため、現場との温度差が生じ、現場の従業員の理解を得られてないことが多いのです。
2の「対岸の火事」とは、1にも通じることですが、現場のスタッフの温度感を理解し、共に汗水流して戦えていないコンサルタントを意味します。
所属するコンサルティング会社の命を受け、貴社のようなクライアントのプロジェクトにアサインされてきたコンサルタントのなかには、自身の昇進のために成功させようと頑張る人はいるかもしれませんが、火傷を覚悟しながらクライアントのために”火消し”をし、再建しようという意欲ある人に出会うのは難しいかもしれません。
つまり、たまに来社して現場を視察し、会議して、資料を作りました、この通りにやってください、では「失敗の8割」に入ってしまうでしょう。
3の「固定報酬」については、もちろん人が動く分、費用が発生するのですが、そこに成果が伴わなくても工数計算だけで一つのプロジェクトに数千万のコストを請求するコンサルティング会社もあります。
大手コンサルティングファームの場合、コンサルタントは時給でいえば大学を出たばかりの新人でも既に1万円を超え、上級コンサルタントになれば10万円を下りません。
上級コンサルタントと数分お話するだけで万単位の費用が発生するのです。一流といわれるコンサルティング会社なのだからと盲目的に契約し、成果を測るPDCAも回されないままになっているプロジェクトは「失敗の8割」です。
4「必要不可欠な存在」にコンサルタントがなっているようでは、そのプロジェクトは失敗といわざるをえないでしょう。
なぜなら、本来、企業が自走するための手助けをするのがコンサルティングの役割だからです。また、経営者やプロジェクト担当役員にとってイエスマンと化しているコンサルタントの存在、もしくはプロジェクト期間が過ぎてもコンサルタントがいないと不安な状態は、”手放したくない快適な毛布”となってしまっており、本末転倒なのです。
5「性急過多」、つまり短期的な視点でプロジェクトの成功を目論むと成功できません。
「年内までに売上30%上げたい」という相談にのるコンサルティング会社は、きっと1や2、3に該当するでしょう。経営資源*1を最大化するためには、中長期で構え、じっくりと成長し、確実に成功させなければなりません。
*1:経営資源=人材、組織、商品・サービス、ビジネスモデル、テクノロジー、顧客、データなど
こんな課題を抱える企業は一日も早い行動が成否を分ける
上記5つの理由にピンとこなかったという方、例えば貴社では下記のようなことはありませんか?
経営コンサルを高額で雇ったものの、アウトプットする方法がよくわからない。
プロジェクト終了後に運用が元に戻ってしまった。そしてまた同じ問題が発生した。
外注先とうまくやっていけていない。
社員の士気が落ちている気がするが、どうしてなのか理由がわからない。
中堅社員の離職率が高く、社員構成が退職間近のベテランと新人が多い。
コンサルタントを入れていても上記の状態であるならば、コンサルティング会社の見直しを検討した方が良さそうです。貴重な経営資源である社員や資金を湯水の如く社外に流出している状態です。コロナ禍等で企業体力が削られた企業では、経営資源の最大化どころか、企業の存続も危ういでしょう。一日も早く難局を乗り越えるアクションをとり、経営者のみならず、”全社員”一丸となって「改善・成長・仕組み化」を試みる必要があると思います。
それでも、コンサルティングが「意味のあるもの」になる条件とは
ここまで見てきたように、コンサルティングが期待通りの成果を生まない背景には、個々のコンサルタントの力量以前に、支援の設計や関わり方そのものに起因する問題があります。
では、どのような条件が揃えば、コンサルティングは企業にとって「意味のあるもの」になり得るのでしょうか。
一つ目は、正解や答えを持ち込む存在ではなく、判断のプロセスに伴走する存在であることです。
企業ごとに置かれている状況や制約は異なり、他社事例や一般論をそのまま当てはめても、現場では機能しないケースもあります。必要なのは、選択肢を整理し、何を判断すべきかの道筋をつくる支援です。
二つ目は、現場や組織の文脈を理解した上で、言葉をすり合わせていく姿勢があることです。
戦略や方針が現場に伝わらない多くの原因は、「内容」ではなく「言葉のズレ」にあります。経営と現場の間で使われている言葉の意味を揃えない限り、どれほど立派な計画も実行段階で形骸化してしまいます。
三つ目は、最終的に外部支援がなくても回る状態をゴールに据えていることです。
一時的に成果を出すことよりも、社内に判断軸や考え方が残るかどうか。つまり経営資源にできるか否か。ここを重視しているかどうかで、コンサルティングの価値は大きく変わります。
AStory合同会社が重視しているのは、PRの手法そのものではありません。
企業が置かれている状況を一緒に整理し、「なぜ、これをするのか」という判断を戦略とともに言語化するプロセスに伴走すること。
コンサルティングが「意味がない」と感じられてしまう前段階で、判断の前提を整えることにあります。
「コンサルは意味がない」
と感じてきた企業の多くは、実は、「自社のパーパスが、判断やコミュニケーションに使われないままになっている」という共通点を抱えています。
もし、
「自社のパーパスはあるはずなのに、経営判断や発信にうまく使えていない」
「社内外で語っていることが、どこか噛み合っていない」
そんな違和感を感じているとしたら、それは“戦略”の問題ではなく、パーパスが言葉と行動に接続されていない状態なのかもしれません。
誰かに正解をもらうのではなく、自分たちの価値観を、経営と発信の軸として言葉にしていく。そのための対話の場として、AStoryは伴走しています。
―― 著者情報 ――
小西 みさを
AStory合同会社代表/パーパス・ブランディング・コンサルタント。全省庁統一資格有資格者。
企業広報・ブランドコミュニケーション領域において30年以上の実務経験を持つ。
Amazon広報本部長として日本市場におけるブランド戦略統括や、ソフトバンク、セガなど上場企業での広報・海外広報経験を経て独立。MBA(英ウェールズ大)修了、Oxford Executive Leadership Programme修了。
株式会社NJS社外取締役、ヒューマンライフコード株式会社社外取締役、BS朝日放送番組審議委員、社内報アワード審査員。
【主な講演実績】新経済連盟/静岡銀行/Startup Hub Tokyo/沖縄県経営者協会 ほか多数。
―― AStoryについて ――
AStoryではアマゾンジャパンの黎明期からトヨタやGoogleを抜いてトップブランドとなった実績(「総合ランキングは、「Amazon.co.jp」が初の総合首位を獲得」)をもとに、ベンチャー、スタートアップ企業の新規上場におけるPR戦略立案やPR担当者育成のサポート、パーパスブランディングの構築支援をしています。
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