コロナ禍が及ぼす社内コミュニケーションの今後と対策

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コロナ禍で会議や商談といったビジネスだけでなく、飲み会、女子会、育児相談など、あらゆることがオンライン化しています。御多分に洩れず当社でもウェビナーの開催やクライアントのオンラインイベントをPR(詳細記事「コロナに負けない!今だからこそできるオンライン体験型イベント(飲食店PR事例)」)させていただくなど、オンライン時代におけるコミュニケーションに舵を切っています。

先日は国内唯一のインターナルコミュニケーションの研究開発機関である社内報総合研究所のオンライン座談会に参加させていただきました。座談会のテーマはポストコロナ時代の社内コミュニケーション。参加者全員のご意見など詳しくは研究所のサイトでご覧いただくとして、今回はAStoryの見解についてお話したいと思います。

 

コロナ禍が社員に及ぼす3つの”F”

東京都内の中小企業では、テレワークを導入した企業が6割を超えたという東京商工会議所の調査結果もあり、今回のコロナ禍でリモートワークがますます定着しつつあります。それはつまり社内報といったインターナルコミュニケーションが重要になってくるという意味でもあります。そしてそのインターナルコミュニケーションは、現在、リモートワークなど通常の勤務形態ではなくなった会社員が抱える3つの”F”を解決することで効果を発揮します。

①「不安定」

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リモートワークや自宅での待機日数が長ければ長くなるほど、従業員のなかには「自分はこのまま会社に居続けられるだろうか?」「会社から情報がこないけれど会社はどうなるのだろう…」といった不安が募ってきます。心が不安定な状態では仕事もままならず、営業や経営に支障をきたすでしょう。

【対策】
この「不安定」を解消するには、「情報を頻繁にアップデートする」ことです。社員からの質問をできるだけ吸上げ、会社としての回答を発信していく社内コミュニケーションが有効です。

②「不透明」

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毎日のように、コロナ禍による倒産や失職に関するニュースが飛び交うなかでのリモートワークは、従業員の心を不安定にさせますが、その原因は会社のポジティブな将来が見えず、今後の予測がつかないから。自粛が緩和されたとはいえ、まだワクチンも治療薬も確立されておらず先行き不透明な状況が続くなか、求められるのは経営者のリーダーシップです。

【対策】
そもそも、なぜ自分たちは存在しているのかを会社のトップが社員に明示することは、果たすべきリーダーシップの一つでしょう。このコロナ禍においてその存在意義が変わってしまうのであれば、変わるということを社員にしっかり伝え、新たな方向性をトップからきちっと発信すべきです。そして、広報はそれを齟齬なく浸透させることが、透明性、ひいては従業員の会社への信頼に繋がります。

③「不規則」

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リモートワークになれば今までの働き方やリズムが崩れます。在宅というプライベートの空間で仕事のONと私生活のOFFを切り替えながら仕事をするということは、自主性が備わっていないと難しいものです。上司が見ていないからと、ついサボってしまう社員や、普段、指示待ち人間だった社員はただただ無為に時間を過ごすことになるでしょう。

【対策】
この「不規則」な環境でもしっかりビジネスを進めていくためには、会社として社員一人一人に「オーナーシップ」を持つよう求めることが重要です。社員それぞれがこのコロナ禍において今一度すべきことをしっかり見直し、スキルやキャリアといったゴール設定をして、オーナーシップを持って行動すべきであることを会社としてしっかり全社員に伝えることです。会社のトップと人事、そして広報が連携することも大事ですね。

 

ポストコロナ社会で社内コミュニケーションの目的は変わるか?

私は基本的には変わらないと思っています。なぜならインターナルコミュニケーションの目的は、いかに会社のミッションやビジョン、ゴールを共有し、それらを達成するために社員各位が情報発信したり交換したりして、モチベーションやエンゲージメントを高めることにあります。それ故、表現方法は変わったとしても、コロナ禍であろうがなかろうが基本は変わらないのではないでしょうか。

また、コスト削減を模索する経営者の方々のなかには、社内の広報活動をコストカットの対象にとお考えになる方がいらっしゃるかもしれません。しかしながら、インターナルコミュニケーションを徹底していない企業はエクスターナルコミュニケーション(社外広報)をしてもあまり意味がありません。つまり、社内で共感を得ていないのに、社外にPRしても無益でしょう。例えば媒体のインタビュー記事で会社のトップが話していたことと従業員の言動が異なっていれば、残念ながら会社のブランディングには繋がりません。メディアでの企業イメージと実際の社風のギャップがあれば、ステークホルダーがネガティブな印象を持つのは必至です。

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ビジネスモデルで最も真似されにくいものは何でしょうか。それは「人材」です。テクノロジーは世に出ればすぐに真似されます。テクノロジーの特権期間は非常に短いものですが、自社のコンピテンシー(能力評価基準)に沿った人材を採用できていれば、仮に自社で開発したテクノロジーが真似されても、さらに別の新たな開発も可能になります。人材のエンゲージメントやモチベーションを上げること、そのための機会を作っていく重要なハブとして、インターナルコミュニケーションはとても大事なのです。だからこそ今後ますますインターナルコミュニケーションの重要性は強まると思っています。むしろポストコロナ社会での社内コミュニケーションは、社員同士が直接会えないストレスを軽減するためにその頻度を増やすなど、より活発にすべきです。

今後ますます、1つの会社に属さない働き方は増えていくでしょう。そうなればなおさら、優秀な人が自社のファンになり、貢献してくれる人を増やすことが、会社の存続には必要不可欠です。

 

社内報の今後

社内報は今後、「速報性のあるもの」と「深堀するもの」の2種類を使い分けることをおすすめします。

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速報性のあるものとは、すぐに聞きたい情報、いわゆる新聞タイプです。例えば、噂では聞いているけれど、役員の誰も公には発信していないといった不確実な情報や、新聞に社長が発言した記事が載っていたけれど、そんなこと社内で誰も聞いたことがないといった真意不明の情報、そして、社内で新規事業が立ち上がったのにその事実を3か月後に知るといった、同じ会社で働く社員が共有すべき情報に時差があるのはインターナルコミュニケーションとして良くないケースです。このような情報は速報性を重視した伝達手段でコミュニケーションをしていくべきでしょう。

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そして、深堀するものとは、じっくり理解してもらいたい情報、媒体でいえば雑誌タイプになります。

知りたい時に知りたい情報が手に入ることは社員にとってフラストレーションの軽減につながり、また、次のアクションが能動的に取りやすくなります。社内報を有効活用して企業成長の要である人と組織を活性化しましょう。

 

リモートワーク社会における有効な社内コミュニケーション

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社内コミュニケーションは企業の存続に重要な機能であることをお伝えしましたが、そのコミュニケーションが空虚なものにならないためにも、同時に人材のコアコンピテンシー(真似されることのない、その企業の核となる能力評価基準)はしっかり作るべきです。以前に書いた記事「イノベーションを生み出す人材採用」にもありますが、Amazonではすべての社員にリーダーシップを求めており、人材採用においても「リーダーシッププリンシプル(リーダーの14カ条)」に基づいて行われます。この指針があることで、リモートワークでも上司が部下の進捗状況や勤怠を心配することすら不要になるのです。コンピテンシーがあれば、どんな環境であっても、どんな働き方であっても、一人一人がリーダーとして行動でき、それが経営において好循環を生むでしょう。

そして広報は会社のトップとの密な連携はもちろんのこと、人事や経営企画などと協同し、インターナルコミュニケーションを仕組み化していければ、ポストコロナ時代の企業存続と発展に大きく寄与するはずです。

 

AStoryでは中小企業やベンチャー、スタートアップ企業を中心にブランド価値向上施策のための戦略立案や社内エンゲージメントを高めるコミュニケーションについてセミナーを実施しています。ご興味のある方はお気軽にコチラへお問い合わせください。