「空飛ぶ広報室」に学ぶPRの心得

ピークは過ぎたものの、依然として続くコロナ禍の環境下、3密を避けてリモートワークや時短勤務が続いている方もいらっしゃるようです。そんななか、思うように仕事が進められない広報担当の方、新人PRパーソンの方に向けて、そんな今だからこそ観てほしいドラマ「空飛ぶ広報室」を紹介したいと思います。

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人気作家・有川浩氏原作のドラマでご存じの方も多いと思いますが、この話の中にはPRの大事なエッセンスが埋め込まれています。放映当時はまだ学生だった新人PRの方はもちろん、当時から今も現役広報としてバリバリ働かれている方にとっても、今観なおしても共感できるシーンが多いです。

 

「空飛ぶ広報室」とは

ドラマ「空飛ぶ広報室」は航空自衛隊の広報室とテレビ局の番組制作・報道の内側を描いた作品です。小説版では主人公の元パイロットが転属された先の広報室で、経験豊かな先輩たちに囲まれながら広報官として成長していく様子を中心に描かれています。ドラマ版ではテレビ局の情報番組でディレクターを務める元報道記者を主人公に、取材や航空自衛隊の広報メンバーとの交流を通し、「広報」と「報道」を切り口に、相互理解の大切さや、正しく知ってもらうこと、正しく伝えてもらうことの重要性が描かれています。

 

学べるエピソード<メディアトレーニング>

このエピソードは第2話で描かれています。詳細はネタバレになるので省きますが、防衛省で緊急記者会見が行われるシーンです。

記者会見シーンでは記者がいて、進行役、起きた事象の説明、そして質疑応答などが描かれています。現実のメディアトレーニングもこのように企業の不祥事を想定した模擬記者会見をすることもあり、実際の記者会見の緊迫感や質問のリアリティが感じられるものになっていて、非常に印象的でした。

ここで特に新人PRパーソンの方に学んでいただけるテーマは「準備」の大切さです。” 受け入れる ” ための準備に努力を怠らないこと。完璧に用意していたとしても、イレギュラーなことが起こってしまうのが広報の現場です。この第2話では、たとえイレギュラーなことが起こったとしても、そこでどれだけ柔軟性をもって対応できるか、という学びがある内容でした。新人の方はもちろん、百戦錬磨のベテラン広報の方でも、自分ならこんな時どうするか?しっかりリアクションがとれるか?と自分に置き換えて考えてみるのも有効です。

貴社に取材に来るのは社会の代表ともいえるメディア、記者です。お互いにメリットを享受できるよう、一方的ではない配慮や努力を最後までしなければならないという教えがこのエピソードにはあります。

 

学べるエピソード<ノウハウの蓄積>

第6話にあるエピソードで、長年、航空自衛隊・広報室に在籍する比嘉哲広という隊員にスポットライトを当てています。比嘉哲広は広報室の在籍者が数年で異動していくなか、ずっと変わらず広報室に居続けます。かつての後輩が次々と昇進していくなか、敢えて昇進試験を受けずに広報室に留まる理由とはいったいなぜなのでしょうか。

広報は長期的に丹念に活動し続けることで価値を生みます。組織に長くいるからこそ、そのノウハウが蓄積され、受け継がれるものがあるのです。例えば、ころころと広報担当者が変われば、1年を通した活動はもちろん、5年前の周年イベントの知識や、各ステークホルダーとのコミュニケーションにおける留意事項など、ノウハウが軽減されて社内外の信用を欠くことになりえます。また、構築されてきたメディアとのリレーション、信頼関係が途絶える可能性もあるのです。

この第6話では広報のノウハウ(蓄積されるもの)が減るリスクがどんなものかが随所に描かれており、気付きの多い回でした。

 

学べるエピソード<メディアに採用される企画>

「空飛ぶ広報室」では全話を通して”企画”というキーワードが飛び交います。航空自衛隊・広報室の各面々が提案する企画、主人公・稲葉リカが上司に出す企画など、様々な企画がドラマのなかでボツにされ、改善されていきます。

企画作りも相手があってこそ。自分よがりでは相手にも響きません。常に、何の目的があって、この企画(報道や記事など)を見た人がどういう行動をとってくれて、相手(記者)が快く伝えたくなるものなのか、という視点が成功する企画作りには必要です。

新人の間は何が正しいのかわからないことも多いと思いますが、まずはそれを周囲から学び、インプットし、経験を積み上げて成功する企画作りのステップを踏みましょう。そうしてできた企画は、スクープ性のあるものでなければ、懇意にしているメディアの方に一度見てもらい、意見を聞くなどして”共感度”を知ることも成功する企画作りには有効です。

ドラマのなかで出てくる様々な企画も、何故その提案が通らなかったのか、ボツになった企画がどのようにして通ったのか、何故メディアでは採用されないのか、といったシーンが出てくるので、スタートアップでPRを担当させられて、右も左もわからない…とお困りの新人広報の方などには特に見応えのあるドラマだと思います。

 

広報未経験のPRパーソンを教育

広報は必要だとわかっていても、そこに人材やコストを割けない企業は多いかと思います。広報のノウハウや環境が整っている企業で広報ができる人は少ないでしょう。

上述したように広報は長期戦です。会社のことをよく理解し、その企業のビジョン・ミッションと同じ方向を向ける人材が、組織を横断的に飛び回り、地道にPRのネタを植え続け、メディアとの関係を耕していくイメージです。そのためのノウハウを新人、特にスタートアップのように企業自体が創業して間もない企業のPRを担当する場合は、手本とする存在やこのようなドラマはとても有効だと思います。「空飛ぶ広報室」は業種やシチュエーションは違えど、広報の姿勢として共感でき、学べることの多いドラマです。

軽いタッチのドラマなので、是非気軽にご覧ください。
空飛ぶ広報室

 

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